相続土地国庫帰属制度の解説

相続土地国庫帰属制度の専門解説|松本・安曇野・塩尻のこいわ司法書士事務所
2026年1月最新版

相続土地国庫帰属制度の構造的分析と実務解説

土地が「富の象徴」から「管理負担」へと変質する現代、望まずに取得した土地への新たな出口戦略が必要となっています。
こいわ司法書士事務所(松本市)では、松本・安曇野・塩尻エリアの皆様へ、最新の法的・実務的運用状況に基づき本制度を詳述いたします。

1. 制度の目的と立法的意義

本制度は、所有者不明土地の発生を「川上」で抑制することを目的としています。2023年4月の施行以降、所有権を国に帰属させるという選択肢が整備されたことは、日本の不動産法理における歴史的な転換点です。

2. 申請権者と対象土地の要件

申請ができる方

相続による取得法定相続人は単独での申請が可能です。
遺贈による取得相続人に対する遺贈によって取得した個人も対象です。
共有地の場合共有者のうち一人が相続取得者であれば、全員共同で申請可能です。

※売買や贈与、法人による取得は本制度の対象外となります。

3. 却下および不承認事由(引き取れない土地)

主な却下事由(形式審査)

  • 土地上に建物がある土地
  • 抵当権等の担保権が設定されている土地
  • 境界が不明、または所有権に争いがある土地
  • 土壌汚染がある土地

主な不承認事由(実質審査)

  • 一定の勾配・高さがある危険な崖地
  • 管理を阻害する工作物や廃棄物の残置
  • 不法占拠者による使用収益の妨害
  • 整備不良な森林(間伐不足等)

4. 費用構造:審査手数料と負担金

  • 審査手数料:土地一筆につき 14,000円(不承認時も返還不可)
  • 負担金:原則 200,000円(地目や区域により加算あり)

負担金の算定シミュレーション(例)

【宅地】市街化区域などの場合

面積 × 2,250円 + 343,000円
例:300平米の場合 = 約1,018,000円

【農地】農用地区域などの場合

面積 × 810円 + 318,000円
例:800平米の場合 = 約966,000円

【森林】全域

面積 × 12円 + 263,000円(※3,000平米超から6,000平米以下の場合)
例:5,000平米の場合 = 323,000円

5. 最新の運用統計(2025年12月末現在)

制度の施行後、審査が完了した事案に占める承認の割合(承認率)は90%を超える高い水準で推移しています。これは事前相談により、適格な案件が適切に選別されていることを示しています。

項目数値(2025年12月末時点)
累計申請件数4,912件
帰属承認件数2,327件
地目別傾向宅地・農地の承認が多く、森林は審査が慎重な傾向にあります。

6. 長野県・中信エリアにおける相談体制

長野県内における本制度の相談は、長野地方法務局 本局(長野市)が一括して担当しています。2024年10月よりウェブ相談も開始されており、松本・安曇野・塩尻エリアからも利便性が向上しました。

こいわ司法書士事務所の視点

本制度は単なる土地の廃棄手段ではなく、次世代へ健全な国土を引き継ぐためのプロセスです。統計上、申請準備中に隣地所有者への売却が成立する事例も多く、国庫帰属は「最終的なセーフティネット」として有効に機能しています。当事務所は、申請の前提となる「相続登記」の専門家として、皆様に最適な解決策をご提案いたします。

松本・安曇野・塩尻の皆様へ
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